ひと昔前では自費出版というのは大変お金のかかることでした。原稿を書いて最低限の印刷部数をすべて作者自身が買い取ることが基本になっていたからです。印刷・製本という行為は、5000部とか10000部が経済効率の高い印刷部数ですから、500部や1000部という自費出版は一冊当たりの単価の非常に高いものについていたことになります。しかも印刷した自費出版本は自宅にどっさり届くため、いきなり小さな出版社の倉庫になるような状態で、それなりの決心がないとできないことでもあったわけです。ところが、近年では電子出版という新しい自費出版の仕組みが各社から導入されたため、お金は殆どかからなくなりました。ワードと呼ばれるパソコンのソフトで原稿を入力し、目次をつければ、あとは文字の誤字さえ修正すれば、閲覧するデバイスにあわせて文字サイズをかえられるスマートフォンやタブレットPC用のアプリをもった電子書籍も登場しており、初期コストはまったくかからなくなりました。
また販売すればつけた値段の35%から70%程度が作者に支払われるので、売上げにもなるという大きな変化が訪れたわけです。そのほかにもスマートフォンのアプリとして開発をして販売することもできるようになり、誰もが本を出版できるようになっています。また印刷会社によってはオンディマンドの自費出版というものも行っており、原稿をフォーマット化して入力して入稿しておけば、必要な部数をオンディマンドで実際の印刷本として加工して納品してくれる仕組みをもったところも登場しています。やはり自費出版ならば印刷して書斎やデスクにおいて置きたいという作者さんの希望にぴったりあったサービスといえることでしょう。このようにインターネットが普及する前では大変なイニシャルコストが必要となっていた出版という行為が、簡単にできるようになったことは、自らの考えやとりまとめを世間に発表する機会が与えられたということにもなります。ただし、販売する出版物というのは、タイトルや本の中身も含めて、それなりに企画力が必要ですし、何より時代の流れの中で読みたくなるものでなくては出版はしてみても全く売れないという大きな問題が生じてきます。それがとにかく出版さえできればいいという自費出版のある意味での自己満足の世界とはちょっと違うことであることだけはあらかじめ認識しておくべきでしょう。
とはいえ、このチャンスを有効に使わない手はありません。あなたも電子書籍で出版の夢をかなえてみませんか。