様々なジャンルから発信される自費出版の世界

昨今の日本では様々なイベントが毎日のように行われている。その中でも自費出版で同人誌などを販売するイベントなどは、2000年代に入り10万人以上の参加者を動員するものもあり、数千人規模のものであれば日本各地でみることができるようになった。更にジャンルや内容が限られるイベントなどは、参加者の数は数百人程度ながら小規模な会場を借り個人が開催する者も少なくない。アニメやコミックのファンが作る2次創作のジャンルは特に人気が高く、自費出版される同人誌やグッズなども多種多様。小説ジャンルのファンが作る同人誌は、ファン自身のイメージからコミカライズされるものも多い。プロ顔負けのファン小説を書く人もいるほどである。上記のみのジャンルを見ると、いわゆるオタクにしか縁のないものに見えるが、自費出版の世界はもっと幅広く、実に奥深いものなのだ。

2次創作のみではなく、1次創作、つまり自分のオリジナルで小説やマンガを作る人達も意外と多い。仕事や学生生活の傍ら、趣味で活動している人たちもいれば、なんとプロの作家が出版社や編集を通す表舞台では出せないマニアックなものや表現しにくいものを、自費出版で発売していたりするのだ。出版社を通すと規制があったり、表現や一部内容を変えてほしいなどの要望が出され、よっぽどの大物でない限りは「素」の原稿がそのまま載ることは難しい。作家としてはつらいところだが、それが万人受けしやすくなったりする。ところが自費出版はよほどのタブーに触れない限りはかなり自由な表現が許される。出版費用やイベントの参加費などは全て自分が出す代わりに、自由な表現を描くことができる世界のである。他には研究肌のジャンルも存在する。野生動物や鳥の愛好家が何年もかけて観察、研究した結果などをまとめた1冊。日々電車に揺られるサラリーマン、OLを観察してまとめた皮肉と愛に溢れた1冊。更にはカメラ愛好家たちが選りすぐりの写真を集めた写真集のジャンルもある。犬や猫の写真を集めた写真集。最近ではダム、工業地帯、廃墟などを撮った写真集も人気がある。

また、もっとまったりとした、俳句、短歌や詩などの本を出す人たちも。このように自費出版は個人や愛好家たちが集まり自由に本を出す世界となっている。出版するものの責任は全て自分が請け負うことになるが、そう堅苦しいことはない。販売するイベントで同じ趣味を持つ仲間との出会いもあれば、同じジャンルで活動する人の本から刺激を受け、次の本への活力を得たりできる。もし気になっている分野があるのなら、イベントを検索してみてはどうだろうか。新しい発見があるかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です